保護者などから起こされる訴訟に備え、保険に加入する教師が増えている。
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 大手損害保険会社の大半が教師専用の保険を扱っているほか、公務員全般を対象にした保険を利用する教師も多い。東京都の公立学校では今年、保険に加入する教職員が3分の1を超えた。こうした状況は、学校に対する親の理不尽なクレームが深刻化する中、教師たちが「いつ訴えられるかわからない」という不安を抱いていることを示している。

 複数の大手損保によると、教師向けの損害保険が出来たのは2001年前後。損害賠償請求訴訟を起こされた際の弁護士費用や、敗訴した場合の賠償金を補償する。毎月の保険料は200~1000円、補償額は300万~5000万円前後で、現在、大手損保6社のうち5社が、こうした保険を販売している。ある大手損保の担当者は、「口コミで保険の存在が広まっている」と語る。

 日本生活協同組合連合会の関連会社「全国学校用品」(東京都)は、大手損保の1社と提携し、教師向け保険を全国の学校生協を通じて募集している。昨年の加入者は約1300人。今年は補償額の上限を300万円から5000万円に改定した。「補償額の大幅な引き上げは、保険に対する教師のニーズが高まっているため」と、全国学校用品の担当者は言う。

 小中高校の管理職の研修を実施している社団法人「日本教育会」(同)は、別の大手損保と提携して04年から同様の保険の募集を始めた。今年の加入者は、当初よりも100人ほど増えて約400人となった。

 東京都では、公立学校の教職員が、都職員を対象にした財団法人「東京都福利厚生事業団」の保険を利用している。大手損保との提携で00年から募集を始めた。この年に加入した教職員は約1300人だったが、今年の加入者は約2万1800人に膨らみ、全教職員(約6万人)の3分の1を突破。全加入者に占める教職員の割合も、当初の24%から今年は71%にまで拡大している。

 同事業団は、「担任の指導が悪いために子供の学習に悪影響が出た」「子供同士のけんかでけがをしたのは学校の責任」などという親からのクレームが、訴訟に結びつくことを想定している。実際に保険金を支払ったケースは、今年3月末までに計約50件に上り、弁護士費用として数百万円を支払う例が多いという。

 都内の小学校の女性教師(34)は、先輩から「教師は保護者から何かにつけて対応を問われる。社会的立場も弱い」と言われ、04年に保険に加入した。ただ、「保険に入る気持ちの根底には、保護者に対する、『何をされるかわからない』という疑いがある。この現状は教師として悲しい」とも打ち明けた。

 一方、大阪府内の公立小中学校の校長や教頭約1500人が会員となっている大阪府公立学校管理職員協議会は、訴訟を起こされた教師に最高400万円を援助する制度を、03年から始めた。資金は会費で賄う、自前の“保険”だ。

 同協議会事務局は「管理職には、問題が起きた際に、最終的な責任を取らなければいけないという不安が強い。現場からは、この制度が精神的な支えになっていると評価する声が出ている」と話している。

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